東京高等裁判所 平成11年(行コ)220号 判決
主文
一 本件各控訴をいずれも棄却する。
二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人ら
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が平成九年一〇月三日付で山田建設株式会社に対してした建築確認処分(確認番号第一三〇四号)を取り消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。
二 被控訴人
控訴棄却
第二本件事案の概要は、以下のとおり当審における当事者双方の主張を補足するほかは、原判決の事実及び理由の「二 事案の概要」欄に記載のとおりであるから、これを引用する。
なお、本件について原審判決は、控訴人目黒和彦、同目黒千代、同湯浅誠之助、同湯浅よね、同大峯ふさ子、原審相被告福王寺四司治、控訴人金沢蓉子、同丸谷通郎、原審相被告堀井整、控訴人清水喬子、同清水充、原審相被告清野純弘、同小川一郎、控訴人伊藤守、同伊藤綾子、同采女圭吾、同青木謙之及び同川北朝彦(以下、右各控訴人を総称して「控訴人目黒ら」という。)に係る訴えを却下し、その余の控訴人ら及び原審相原告らの請求を棄却したところ控訴人らが控訴したものである。
一 控訴人らの補足主張
1 原判決が控訴人目黒らの訴えを原告適格を欠くとして却下したことは、法令の解釈を誤ると共に、事実を誤認したものである。
(一) 法令解釈の誤り
(1) 法(建築基準法)四八条が用途地域ごとに建築できる建築物を制限し、法六八条が美観などについて制限を設けることができるものとし、法六八条の二以下が地区計画を定めていること等から明らかのように、法は、地域ごとに地域環境そのものに適合した建築物を建築させ、もって、景観や生活環境を守ることを明らかにしており、法及び法施行令等が保護する法律上の利益は、日照、採光、通風、火災等の災害の影響がある場合に限っているわけではない(法施行令一二九条の二の三は、排気口からの大気汚染の防止を定めている。)。また、法四三条二項では、周辺住民の災害時の避難や前面道路を通行する者の安全も保護することを目的としており、大規模建築物が増加した今日においては、その保護の対象は広いものとなっている上、法二〇条が建築物について地震その他の振動及び衝撃に対して安全な構造であることを求めていること等からしても、右災害の影響も火災の場合に限定されるものではないのであるから、法及び施行令は、地震などの災害の場合の倒壊その他による影響も周辺住民の具体的な利益として考慮している。
(2) 足立区の建築紛争予防条例は、たしかに良好な近隣関係の保持や地域の健全な生活環境並びに居住環境の保護等を目的とするものではあるが右条例が設けられた趣旨は、建築確認通知処分によって、周辺住民が、日照、採光、通風、火災等の災害の影響はもちろん、さらに地震などの災害、さまざまな生活環境上の問題、景観、風害、電波障害といった影響を緩和し、あるいはその影響を受ける個人と建築主との個別の利害関係の調整のために、行政が積極的役割を果たすことを認めたものである。このような条例のもとでは、広く当該条例上の説明義務を課した内容については、保護されるべき利益として考慮されるべきである。このように当該処分によって現実に周辺住民が影響を受けるものとして、地方公共団体によって内容が具体的に示されている状況においては、当該処分による保護の内容は、そうした地方公共団体の意思も踏まえて解釈されるべきである。
(3) よって、原判決が、法律上保護された利益を、日照、採光、通風、火災等の影響がある場合に限り、風害、電波障害その他の生活環境上の影響や災害上の危険、景観等を除いたことは失当である。
(4) 次に、原判決は、日照、採光、通風、災害等の影響についても「直接」受ける者、すなわち「当該建物の敷地の隣接地又は極めて隣接した土地に居住する者」に限定されるとする点で誤っている。本件建物は高さ約二一メートル、東西の幅約二六メートル、南北の幅約三二メートルの高層建物であり、当該建物の地震による倒壊、高層階でのガス爆発などの火災が起きた場合、その影響は高さと同等の範囲に及ぶことが十分考えられるうえ、採光や通風の点でも多大な影響が生じることが明らかである。前記建築紛争予防条例が、建物の高さの半径内の住民に説明義務を課しているのは、風害や電波障害にほかに、採光、通風、火災や地震の影響が及ぶことを考慮したものである。
(5) 以上からすれば、本件において法律上保護された利益を有する者とは、日照、採光、通風、火災等の影響がある場合のほか、風害、電波障害その他の生活環境上の影響や災害上の危険、景観等に影響を受ける者を含むものであり、その範囲も、右影響を直接に受けるか、または、当該建物の高さの半径区域内に居住し、あるいは土地建物を所有する住民を含むものと解するべきである。
(二) 事実誤認
控訴人目黒らは、本件建物の建築によって日照、採光、通風を直接に侵害され、又災害の危険を直接受けるものである。
(1) 控訴人目黒和彦、同目黒千代、同金沢蓉子、同丸谷通郎、同清水喬子、同清水充は、いずれも本件建物の南側道路を挟んで本件建物と直面する位置に居住するものであり、同人らに採光や通風の影響が及ぶことは明らかである。さらに、平成一一年一月二六日に発生した火災の際の状況(甲一九参照)のとおり本件建物内で火災が起きた場合には南側道路を挾んだ住居などに影響が及ぶことも明らかであり、地震等による倒壊や高層階でのガス爆発の場合に落下物などにより影響を受けることも明らかである。
(2) 控訴人湯浅誠之助、同湯浅よね、同大峯ふさ子は、本件建物の西側道路を隔てて南西側に位置する者である。この位置からは、本件建物の南北の壁及び東西の壁がいずれも視野を遮る形となり、採光、通風に影響を及ぼすことが明らかであり、地震等による倒壊や高層階でのガス爆発の場合に落下物などにより影響を受けることも明らかである。
(3) 控訴人伊藤守、同伊藤綾子は、本件建物の南側から一軒を隔て、また東側面から一軒を隔てた位置に居住するものであり、両名の住居は本件建物に隣接するものではないが、採光及び通風の影響を受けることが明らかである上、前記火災の際の状況からしても、本件建物で火災が起きた場合には炎症等のおそれがあり、火災等の影響を受けるおそれのあることも明らかである。
2 本件処分は建築安全条例四条二項に違反する。その理由は既に述べたとおりであるが、以下のとおり補足する。
(一) 本件処分において、建築基準法付則五項によって、同法四二条一項五号の道路位置指定に当たるとされた建築線の指定は、第一に特定を欠き、第二に水路をまたぐ建築線は不存在であるから、いずれの意味でも有効な道路位置指定は存在しているものとはいえず、その点で原判決の法令解釈及び事実認定は誤りである。
仮に、昭和九年のいずれかの時期に警視庁告示によって指定がされたとしても、水路をまたがる幅員の建築線指定などはなく、有効な建築線指定だとしても、それはそれぞれ水路の縁と建築線までの間の道路幅員を定めるものに過ぎない(たとえば、池の回りに道路があった場合と対比すれば明らかである。)。建築線は、沿革から言っても、道路と建築物の関係を規律するための一つの線であり、道路位置指定ではないのであり、水路に接する道路に建築線を指定する場合には幅員を問題とする余地はないのであるから、原判決が本件建築線が幅員六メートルのものとして指定されたと認定したことは誤りである。本件建築線指定は、水路の両端から外側に向けてのものと解するほかないのである。なお、原判決は、将来にわたって当該建築線間を道路として整備しようとするものであれば足りるとしているが、右水路は農業用水路であり、昭和九年当時、廃止は全く予定されておらず、その後昭和四五年まで存在していたものである。したがって、本件において、仮に建築線指定が有効だとしても、昭和二五年時点で幅員六メートルの間をもつ建築線指定はなく、法四二条一項五号の道路位置指定があったとみなすことはできない(有効な建築線指定があったとしても、それは幅員四メートル以上でなかったから、昭和二五年の法施行の際に失効したものと思料される。)。
(二) 法四二条一項五号の位置指定道路は、特定行政庁の指定と、道路としての実体を具備することが要件であるところ、原判決は後者の要件を不要であるとするもので違法である。そして、本件では前面道路はいずれの地点においても未だ六メートルの現況幅員を有しておらず、道路としての実体を欠くものである。法四三条及び安全条例四条二項との関係では、六メートルの幅員を有する道路があると扱うことはできない。
(三) 建築安全条例四条二項は、大規模、高層建築物の火災の際、避難、消火及び救出活動のため消防自動車及び梯子車の通行、現場における作業を容易にするために幅員を六メートルとして定められたものである(甲九参照)。大規模高層建築物の場合、消火、避難その他の観点から特別の規制が必要なことは、その建築物の性質上当然であり、右建築安全条例四条二項の関係では、現実に六メートル以上の幅員が確保されているか、または近い将来に確実にそれが実現されることが必要である。本件においては右要件を欠くことは明らかであるから、本件処分は右建築安全条例の法条に違反するものであって、取り消されるべきものである。
2 平等原則違反
建築主が足立区環境整備指導要綱、同細則要綱上負っている義務は法的に強制力を持たない場合であっても、任意履行の基準としての意味を持っており、そのような基準により他の事業主がいままで一〇〇パーセントそれにしたがってきたものであるところ、本件においては右要綱等に基づく納付金について、なぜか他の業者と異なり、建築主がこれを納付する以前に、急遽本件処分がされたものであって、平等原則に反するものである。
3 本件建物予定地は、狭隘な道路の奥、すなわち路地裏に位置しており、周辺は二階建てや三階建てが並ぶ低層の住宅及び家内制工業の地域であるところ、建築主が予定している七階建ての建物に接する部分には消防車が入ることができず、数十メートル先からホースを持ってきて消火活動をするほかないという地点である。そのようなところに本件のような建築物が認められる訳がないというのが住民の素直な感情であり、生活実感であり、これらを反映するものとして策定されたのが建築安全条例四条二項である。
二 被控訴人の補足主張
1 控訴人日黒らの原告適格について
控訴人らは、建築確認処分に関し法律上保護された利益を、日照、採光、通風、火災等災害の防止、風害、電波障害その他生活環境上の影響や災害上の危険、景観等であると主張し、法四八条、六八条、二〇条、法施行令一二九条の二の三、建築紛争予防条例等の法令は控訴人らの個別的利益を保護する規定であると主張するが、以下のとおり失当である。
(一) 本件建築物の敷地及び控訴人らの居住する地域は、都市計画区域内にあり、準工業地域、建ぺい率六〇パーセント、容積率三〇〇パーセント、第三種高度地区、第二種特別工業地区とされた地域、地区に所在する。
(二) 法四八条(用途地域)については、用途地域の指定により住民が享受する環境利益は反射的利益であり、控訴人らの個別的利益をも保護するものではない(最高裁昭和六〇年一一月一四日判決・判例タイムズ五九四号七二頁参照)。法六八条(美観地区)、法六八条の二(市町村の条例に基づく制限)の規定も同様であるが、そもそも本件建物敷地や控訴人ら居住地付近は美観地区や地区計画等の区域指定は受けていない。
法施行令一二九条二の三は建物室内に汚染されていない空気を供給し、室内の空気の廃棄をするために必要な設備に関する規定であって、当該建物内部の安全、防火、衛生上の観点から定められているのであり、建築物からの排気によって建築物外部の大気汚染を防止するための規定ではない。
(三) 法四三条二項(敷地と道路の関係)は条例により一定の規模、用途の建築物について、同条一項の一般規定に付加して必要な制限を加えることができることを規定しているが、法四三条は、都市計画区域内に建築される建築物の敷地は原則として道路に二メートル以上接することを要求することによって、当該建築物の利用や緊急時の避難、消火活動等が支障をきたさないようにすることを確保するための規定であって、当該規定の目的は、建築物を利用する者の利便や安全等を確保することを目的とするものであり、近隣居住者の生活上の利益を一般公益の外に個別的利益として保護しているものではない。
(四) 法二〇条(構造耐力)は建築物が安全な構造であることを要求しているが、これは建築物の利用者に当該建築物の損壊による危険が生ずることのないことを確保する規定であり、構造上危険な建築物が存在しないことによる近隣居住者の利益は、一般公益に吸収されると解すべきものである。
(五) 法施行令八八条、九三条は、それぞれ地震力、地盤及び基礎杭について算定する際の計算式、数値等を定める規定であって、それ自体控訴人らの利益を保護する規定でないことは明らかである。また、建築紛争予防条例は、中高層建築物等の建築計画の事前公開並びに紛争の斡旋及び調停に関して必要な事項を定めた条例であって、近隣居住者の利益を個別具体的に保護する規定ではない。なお、法三章五節(防火地域)の各規定は、防火地域ないし準防火地域における建築物が外部からの延焼による被害を受けない構造ないし設備を備えることについて規定するものであって、建築物の火災が隣接地に延焼しないこと、すなわち出火の防止を目的として規定するものではない。
(六) 以上のとおり、建築物の近隣居住者の利益が、法の規定により保護されると解すべきは、法五六条一項二号、三号、五六条の二及び五八条並びに高度地区に関する都市計画の定め(最低限度の高さを定める規定を除く)以外にはなく、これらが保護する利益についても控訴人目黒らにはその侵害がなく、同人らには原告適格がない。
2 本案について
(一) 控訴人らは、本件処分は法四三条及び同条二項に基づいて制定された建築安全条例四条の規定に違反する旨主張する。
しかしながら、法四三条の規定は既に述べたとおり都市計画区域内に建築される建築物の敷地は原則として道路に二メートル以上接することを要求することによって、当該建築物の利用や緊急時の避難、消火活動等が支障をきたさないようにすることを確保するための規定であって、右規定の目的は、当該建築物を利用する者の利便や安全等を確保することを目的とするものであって、近隣居住者の生活上の利益を一般的公益の外に個別的利益として保護しているものではないから、当該規定があることによって結果として都市計画区域内の安全な建築環境が実現し、近隣居住者が利益を受けることがあるとしても、そのような利益は反射的利益であるというべきである。また、足立区環境整備要綱上負っている義務を建築主が履行しないとの控訴人らの主張も、控訴人らの法的に保護された利益とは関係がない。
(二) 控訴人らは、水路をまたがる「幅員」の建築線指定はなく、有効な指定であるとしてもそれは水路の縁と建築線までの道路幅員を定めたにすぎないとも主張する。
しかし、既に原審でも述べたように、建築線はそれを指定することによって、将来的に建築線間の空間を道路とするというものであり、建築線を指定した時点の建築線間の状態がどのようなものであったかは問わない。また、本件建築線申請図(乙二号証)において、本件建築線間の距離が六メートルと表示され、警視庁公示一五二号(乙一号証)においても指定された建築線の距離(幅員)は「三米、四米、六米」と記載されており、本件建築線は建築線間の距離が六メートルのものとして指定されたことは明らかである。
(三) また、法四二条一項五号道路には道路築造期間を限定する規定はなく、同号の指定があったものとみなされる以上、当該道路が指定どおりの実体を備えているか否かに関わりなく、同号の位置指定道路と認められると解すべきものであるし、建築安全条例四条は、法四三条を前提としており、同条例四条の道路も法四三条の道路と同義と解すべきことは既に述べたとおりであり、足立区環境整備指導要綱に適合するか否かは、建築確認の際に建築主事が審査すべき対象ではないことも、既に述べたとおりである。
第三当裁判所の判断
一 控訴人目黒らの控訴について
当裁判所も、控訴人目黒らの本件各訴えはいずれも原告適格を欠き、不適法であると判断する。その理由は、原判決の事実及び理由の「第三 当裁判所の判断」の「一」欄に説示のとおりであるからこれを引用する。なお、本件建物敷地や控訴人ら居住地付近は美観地区(法六八条)や地区計画等(法六八条の二)の区域指定はされていないし、法二〇条(構造耐力)は建築物の利用者に当該建築物の損壊による危険が生ずることのないことを確保することを目的とする規定であり、構造上危険な建築物が存在しないことによる近隣居住者の利益までを個別に保護する趣旨まで含むものではなく、右利益は建築物に一定の安全基準が遵守される結果として保護されるとされているものというべきである。また、法施行令一二九条の二の三は、建物室内に汚染されていない空気を供給し、室内の空気の排気をするために必要な設備に関する規定であって、当該建物内部の安全、防火、衛生上の観点から定められているのであり、建築物からの排気によって建築物外部の大気汚染を防止することを直接の目的とするものではないし、法施行令八八条、九三条は、それぞれ地震力、地盤及び基礎杭について算定する際の計算式、数値等を定める規定であって、それ自体控訴人らの利益を保護する規定でないことは明らかである。
仮に、控訴人目黒らに本件各訴えの原告適格が認められるとしても、後記のとおり本件処分に違法がないことは原判決が認定、判断するとおりであるから、控訴人目黒らの本件各請求は、原審に差し戻すまでもなく、いずれも棄却を免れないものであるところ、当審において控訴人目黒らの本件各請求を棄却することは許されないから、結局控訴人目黒らの本件控訴を棄却すべきことになる(民事訴訟法三〇七条、三〇四条参照)。
よって、いずれにしても控訴人目黒らの本件各控訴はいずれも理由がない。
二 本件処分の適否(争点2)について
1 当裁判所も、本件処分は適法であると判断する。その理由は、以下のとおり改訂するほかは、原判決の事実及び理由の「第三 当裁判所の判断」の「二」欄に説示のとおりであるから、これを引用する。
(一) 原判決書四〇頁一三行目の「敷地が官有地の」を削除する。
(二) 原判決書四五頁二行目の末尾に、行を改めて以下のとおり加える。
「なお、控訴人らは、昭和九年当時、本件水路は廃止が予定されておらず、その後昭和四五年ころまでは存在したものであることからしても、本件建築線指定は水路の縁からの道路幅員を定めたものにすぎない旨主張する。本件建築物建設予定地の東側道路部分の水路は、昭和四〇年代前半まで存在していた(右水路は昭和九年ころは道路中央部分に存在していたが、昭和四〇年代初めころには、道路の一方の端に寄って存在していた)ことが窺われるが(甲二一及び弁論の全趣旨)、右水路及び両側の道路(合計幅員二・五間)は国有地であって、右水路を含めて道路を整備することに格別の支障があったことを窺わせる証拠はなく、また、このような道路の整備は通常行われることであって、昭和九年当時に道路整備が想定されていたことを否定すべき証拠はないから、本件水路を湖沼と同様にいう控訴人らの主張は採用することができない。そして、本件において建築線指定が右水路を挟んで六メートルの幅をもって指定されていることは前記のとおりであるから、これが単に水路の縁から一方の道路の外周部分の建築線を指定したものと解することはできないというべきである。」
(三) 原判決書四六頁三行目の「「道路」は、」の次に「その対象とする建築物が大規模、中高層建築物に限定されていることからしても」を、同五行目の「いえない旨主張するが、」の次に「道路としての実体を備えていることが望ましいけれども、本件のような予定建築物が中高層建物であること等を理由に、同条項の「道路」を法四三条の「道路」とは異なり、道路としての実体(現況幅員六メートル以上の道路であること)を備えていなければならないと解することは相当でないから、右主張も」を、それぞれ加える。
(四) 原判決書四八頁六行目の「取扱いが存在したとしても」を「取扱がなされた例(幅員を五メートルに満たない道路として申請された建築確認申請図面をそのまま採用している例)も存在するが、他は六メートル幅の位置指定道路が存在することを前提とした取扱がされていると認められるのであるから(甲一六ないし一八の各一・二、乙一一の一ないし四、一三の一ないし七及び弁論の全趣旨)」と改める。
(五) 原判決書五〇頁五、六行目の「いうべきである」の次に「(したがって、他の建築主が右要綱に基づく指導により納付金を事前納付しているにもかかわらず、これを納付しない建築主から建築確認申請が出されたとしても、建築主事(被控訴人)としては、そのことを理由に建築確認の審査を拒否することはできない。)」を加える。
2 以上によれば、本件処分に違法はないから、控訴人目黒らを除く控訴人らの本件各請求はいずれも理由がない(なお、控訴人目黒らに原告適格が認められるとしても、控訴人目黒らの本件各請求もいずれも理由がない。)。
三 よって、控訴人らの本件各控訴はいずれも理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法六七条、六一条、六五条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小川英明 裁判官 川口代志子 裁判官 宗宮英俊は、差し支えのため署名押印できない。裁判長裁判官 小川英明)